Q1. 2020年3月期の業績について教えてください。
コンシューマ事業は堅調に推移したものの主にオンライン事業の不振により減収減益
2020年3月期の業績は、売上高が25,365百万円(前期比5.3%減)、営業利益が2,449百万円(前期比48.0%減)となりました。
セグメント別に説明しますと、まず、オンライン事業については、6周年を迎えた『剣と魔法のログレス いにしえの女神』をはじめとする長期運営タイトルの売上減少や運営タイトル数が減少したこと、当期リリースした新作タイトルが期待していたほどの収益を生むことができなかったことなどから、目標を達成することができませんでした。さらに、一部タイトルについては、将来収益の見直しによる開発資産の評価減や、開発中止による開発費用の一括計上がありました。
コンシューマ事業では、新作アクションゲーム『DAEMON X MACHINA(デモンエクスマキナ)』やシリーズ初のNintendoSwitch向けタイトル『牧場物語 再会のミネラルタウン』といった、当社のIP作品が好調なセールスを記録しました。ただし、前期の第2四半期において実施したソフトウェア資産等の売却による一時収入からの反動減がありました。
また、 アミューズメントの「ポケモンガオーレ」が3月以降は新型コロナウイルスの影響を受けたものの、通期では好調な結果となり、大きく収益に貢献しました。
音楽映像事業は、2019年6月に発売した『映画刀剣乱舞-継承-』が好調なセールスを記録しました。また、「舞台『刀剣乱舞』」をはじめとする人気シリーズの最新公演や、「ミュージカル『憂国のモリアーティ』」などの完全新作を公演し、好評となりましたが、ステージ公演のパッケージや関連商品の販売が前期と比べて減少しました。また、2020年4月および5月の公演中止に伴う中止損を特別損失として計上しました。
Q2. 事業戦略について教えてください。
新規IPの創出、既存IPの育成強化、世界で通じるブランドの確立へ
当社は『牧場物語』をはじめとしたIP(知的財産)を複数保有していますが、競争の激しいエンターテイメント業界で今後勝ち抜いていくためには、これら既存のIPをより魅力的に磨き上げ、世界的なブランドとして確立することが必要であると考えています。また、同時に新しいIPの立ち上げにも取り組んでおり、昨年は完全オリジナルタイトルである『DAEMON X MACHINA』を発売し、世界で好調に売り上げを伸ばしています。
このように、既存IPをより強力なブランドに育て、世界での認知を高めるとともに、新規IPを立ち上げ、それを世界的なレベルに育成すること、さらにそれらを当社の誇る幅広い事業領域に展開していくことを、当社の最重要課題として取り組んでまいります。
近年の新規IPの開発予算については肥大化の一途をたどっており、巨額の制作費と広告費をかける欧米の企業に比べて、日本のゲーム会社は開発力や資金力の面で大きく水を開けられつつある状況です。このような状況下ではありますが、当社においても次世代型家庭用ゲーム機を含むマルチプラットフォーム対応の次世代ゲームを制作し、さらに世界展開を狙えるだけのハイエンドブランニュータイトルの企画・開発に取り組んでいきたいと思っています。
Q3. テンセントグループとの資本業務提携の狙いについて教えてください。
世界的企業と強固な関係を築きIPの育成、グローバル展開を推進
テンセントグループは、中国およびグローバル市場で様々なインターネット関連サービスや商品を展開している、インターネット企業として世界最大級の収益および時価総額を誇る国際的企業です。中でもゲームビジネスはコアビジネスの一つで主要な収益源となっており、世界でもトップクラスの技術力・開発力・収益力を持っています。
当社とテンセントは、これまでもゲーム事業において連携をとっており、2019年3月には、当社を代表するIPである『牧場物語』のモバイルゲーム展開について、テンセントグループとライセンス契約を締結いたしました。当社が素材の提供を行い、テンセントグループが開発・配信・運営を担当し、両社のノウハウを合わせることで、モバイル分野での『牧場物語』IPの世界展開を目指しています。
このような協力関係を築く中、今後予想される事業環境の変化や投資の肥大化などを見据え、テンセントグループと業務提携に留まらず、資本提携による強固な関係を築き、大型投資を可能にすることで、新たな事業機会への挑戦とエンターテイメント市場におけるプレゼンスの向上、グローバル展開の推進など、持続的な成長を可能とするための体制構築ができると判断し、この度資本業務提携を結ぶことといたしました。当社は本提携により、当社保有IPのさらなる育成とグローバル展開を推進し、また新規IP への大型投資も加速させてまいります。
なお、本資本業務提携にかかる第三者割当増資により、当社株式に一定の希薄化が生じることとなります。しかし、調達した資金での新規IP創出や、当社主要IPのグローバル展開を成功させ収益拡大を実現すること、ならびにテンセントグループと資本関係を含む強固な関係を構築することは、当社の中長期的な企業価値の向上に資するものであり、最終的に株主の皆さまの利益向上に繋がるものと考えておりますので、ご理解賜りたくよろしくお願いいたします。
Q4. 株主さまへのメッセージをお願いいたします。
テンセントと協力し新しい事業分野へもチャレンジ、今後の展開にぜひご期待を
現在当社が展開する事業領域はオンラインゲーム、コンシューマゲームソフト、アミューズメントゲーム、音楽・映像コンテンツ、舞台・ミュージカル興行ですが、新型コロナウイルスの世界的な蔓延を契機とした生活様式や働き方、思考や行動の変化が起こり、また、世界各国で本格展開が期待されている第5世代移動通信システム(5G)導入などの技術発展により、今後様々なビジネスチャンスが生まれることが予想されます。こうしたチャンスを活かし、当社はテンセントグループと協力し合いながら、新しい事業分野にも積極的にチャレンジしていきたいと考えています。
私たちはこれからも、総合エンターテイメント企業としてさらなる成長を果たすべく、様々な施策を実行し、収益拡大による株主価値の向上に努めてまいりますので、ぜひとも今後の展開にご期待いただきたいと思います。株主の皆さまにおかれましては、当社グループの企業活動に引き続きご理解を賜りますとともに、変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。